〔韓国・「労働者の力」(ノドンジャエヒム)第152号〕
http://news.pwc.or.kr/news/view.php?board=news&category1=162&id=4637
経済危機と労働者
〇1000万名の貧困層、850万の非正規職、韓国資本主義体制の危機は深化している
〇世界恐慌の真ん中で、2009年上半期に始まる構造調整は、労働者に向けられた資本の責任転嫁だ。
〇資本主義の危機を助ける為に、労働者民衆に、「苦痛の分担」を要求する政府と資本家
〇資本主義の危機に、死活を掛けた攻撃を企てる資本家と政府、
〇資本主義体制自体に対する戦いが必要となっている
〇基幹産業、銀行の国有化闘争を始めなければならない
(韓国資本主義の危機は、日本資本主義の危機と同時進行している。韓国労働者民衆の課題は、日本の労働者民衆の今日の共通目標でもある。-訳注)
<十匙一飯の伝統?>
李明博大統領は、去る10月27日国会施政演説で、‘我々は<十匙一飯>の伝統を持っている。’とし、98年の記憶を取り出した。そうだ。10年前、為替危機を、我々は国民の税金と金集めで克服(?)した。MB(大統領)は、これに言及し、<十匙一飯>(一匙の飯でも十匙あれば一つの茶碗のめしとなるの意―訳注)の伝統を押したてる。
そうだ。資本家たちは、何時も自身の置かれた危機を、国民達に配分しようとする。そしては‘危機’を自身の‘利潤蓄積’の契機にする。国家を全面に押し立てる言葉だ。
過ぎし過去10年が、そうだった。危機だと言って、国を助けようと、国民達に大げさに振舞って、あらゆる種類の構造調停(改革)を勝手気ままに行った。法を取換え、制度を変えながら‘資本の天国’を作った。その結果は850万の非正規職、貧困の深化だった。
新しいMBは、<十匙一飯>をしようと言う。今度は、何を押し付けようとするのか?長期的な景気沈滞を前にして、庶民達は怖ろしいだけだ。

<嘘>
世界の有名なブルジョアジー達も、ぶるぶる震える‘恐慌’が、目の前に来た。誰かは、既に恐慌だと言い、誰かは、未だ恐慌でないと言うが、誰もが言う事は長期沈滞が、今後長続きすると言う事だ。世界の経済学者たちは、‘少なくとも、3~4年は沈滞が継続されるもの’と言うので、多くの人々は1929年の大恐慌以後、最高の‘危機’だと言う。韓国もまた例外でないと言うのも、あまりにもよく分かる。いや、アイスランドの後に引き続いて、韓国に経済破局がすぐ来るのだと予見する学者達も居るが、韓国経済の深刻性を知ることが出来る。
政府は、その深刻性を最近に入ると認め始めた。そして、各種対策をしきりに行った。しかし、その政策が‘韓国経済を生きさす事ができるだろうか?’と言うことに、多くの人々が懐疑的だ。
MBは、経済沈滞を克服する為の方案で、減税政策を核心に各種規制緩和策を発表した。
これらの論理は、‘金持ち達に、税金を削ってやれば、その金を動員し、そうすれば消費が活性化されて景気沈滞を防いでくれるはずだ。’、‘規制を無くしてやれば投資が活性化されて、働く場所が多くなり、景気が活性化されるはずだ。’と言うのだ。‘金持ちのための政府’うんぬんと批判することは‘米で飯を炊く話’であり、問題は、政府の主張通り、本当になるかと言う問題だ。
比較して見易いものは、10年前の為替危機の時だ。去る98年、為替危機当時、最低所得層の平均所得は23㌫前後減少したのに較べ、富裕層の所得は4㌫増加したと言うのだ。しかし、消費にあっては、むしろ富裕層の消費が遥かに減少した。(極貧層8㌫縮小、富裕層10,5㌫縮小、)。最低所得層の平均消費率は140㌫で、消費の40㌫は、人に借りて生活したと言うものだ。
これは、なんと言う話だ。貧しい人々は、経済危機が来たからといって(普段から贅沢するわけでもなく、もともと質素だから)、節約しないものであり、所得が少なくなり負債が多くなる。金持ち達は、経済危機が来れば財布を閉める。ウォン禍もドルに換えて置き、金に換えて置き、再び景気が晴れる時まで待つと言う話だ。名品も買わず、海外旅行も減らすと言うわけだ。即ち、減税をして、規制緩和を通し、経済を生かすと言う事は、嘘だと言うことだ。特に、今の様な状況ではと言うわけだ。
<深刻な状況>
そうであれば、違った答えはあるのか?現在の体制を維持する一つの答えは、別にある様に見えない。ウオール・ストリート専門家達の‘展望を語るのが無意味だ’と言う話が主要言論の論調だ。家計の負債が660兆を通り越したし、この住宅・担保貸し出しが330兆ウォンを通り越した。一言論機関の会社員を対象として、設問調査(世論調査)の結果に依れば、応答者55㌫が50~150万ウォンの金融費用を出す(支払う)と言う。応答者達は貸し出しを受けて株式に投資した人々、マイホーム取得の為に貸し出しを受けた人々、生計費のために貸し出しを受けた人々だ。月給の3分の一以上を銀行に、そっくりそのまま支払わねば為らない。ここに、経済危機で、貸し出し利子が少なくとも15%、最大25㌫までのぼって、貸し出し負担に依った経済圧迫が、大きくなっている。
2004年以後、不動産の景気が活発と為りながら、‘私のお金で家を買えば馬鹿’だと言う声を聞く時があった。金がなくても銀行で貸し出しを受けて支払い、マイホームの準備をしたが、今は高くなった利子によって、製造業の労働者達は、残業、特勤を更に増やさなければ為らない。それで、問題は景気沈滞によって物量が減りながら残業、特勤が縮小されて、構造調整まで予告されている状況だ。2009年以後から、貸し出し償還規模が、大きくなる予定なので、延滞と不渡りを心配する記事が並んでいる。
ここに、来年上半期、大規模構造調整を前にしているから、労働者達に向った資本の責任転嫁は、まだ手始めの段階だ。
<労働者・庶民らの苦痛>
一労働者の離婚の知らせを聞いた。理由は、株式投資の為だ。株式投資による貸し出しを、度を越して多く受けて、とうとう、賃金の差し押さえまで始まり、これ以上生きて行けないと言ったそうだ。事業場の労組幹部は、“最近、賃金差し押さえになった組合員達が増えている。信用不良者達も増えだしている。”と言う。マイホームを夢みて、結婚資金を準備しようとして始めた株式、ファンド投資が、株式市場がズタズタになり、全て失ってしまったのだ。失うだけであれば、幸せだが、負債が増えているのが更に大きい問題だ。
資本家たちが作り出した商品(株式、ファンド投資等、金融商品―訳注)は、労働者庶民達の‘未来’までも奪っていった。汗を流して働いても、貧しい大多数の労働者達が、資本家たちの‘誘惑’に自分達の未来を売ってしまった格好だ。
それでも、この人達は、銀行に貸し出しを受けることが出来る資格がある人達だ。銀行貸し出しも不可能で、不法金融を利用する人達が200万余名を超える。低信用者(信用不良者)に分類された710万名の人達は、銀行利子の、少ないので2倍、多いので5~6倍の利子を支払いながら暮らしている。大多数が零細な自営業者達や、生計の為に借金をした失職者、零細―非正規労働者達だ。
いつの日か、証券会社に働く労働者の自殺のニュースが報道された。証券会社労組の一人の幹部は、“これから、証券労働者の自殺のニュースは引き続くだろう”と言う。
98年以後、成果数の賃金体系が全面化されたので、金融部門労働者らは、所謂‘割り当て’を受ける事となった。ファンド口座何個以上、株式規模幾ら以上を満たさなければ、賃金が削られ、雇用まで威嚇される状況。これらは、借名口座でも作って、その「割り当て」を満たさなければならない。そうだから、金融市場が崩壊されて、彼らが置かれた状況は‘死ぬ事’の他、解決が不可能な状況になってしまったのだ。
新自由主義を押し立てた資本の政策は、賃金体系を始めとするあらゆるものを、置き換えた。
高物価は更に深刻だ。貧富格差が深化されて、一千万名の貧困層が存在する韓国の状況で、高物価は致命的だ。油価が半分に落ちて穀物価も安定されたと言うが、投機勢力らの大騒ぎで「ノルテイギ」(陰暦正月のシ-ソー板跳び遊び。―訳注)する為替相場は、生活必需品の価格を30㌫以上高めに置いた。市場開放によって、貧困層の食べ物は中国産が占め、工産品を始めとした多くの製品が、所謂‘外国製’だ。
世界経済が動乱を起こしたが、輸出も難しく輸入価格が天井知らずに上がり、その被害は、そっくりそのまま庶民達が被っているのだ。
こんな状況にも、働く場はさらに悪化されている。35万名の仕事場創出と言う政府の公言は、陰も姿もなく11万名を辛うじて越す仕事場だ。
問題は、ここではない。主要企業の構造調整が、年末から始まる予定なので、失職者が急激に増える展望だ。その失職の順位1は、非正規職だ。経済活動を、はなから放棄した人々も急増している。
最近、何月ぶりに600万を越えた自営業者達が、580万名のまま減っていった。零細業者らが没落しているのだ。
<政府の死の苦悶>
政府は、状況が深刻になるや公的資金投入を発表して、銀行に対して3年間1000億ドルの資金保証をしようと言った。銀行の大株主が、大部分海外資本である為、これ等が金を引出す規模が大きくなるので、為替相場の暴騰、株価下落を手当てできないためだ。建設業者9兆ウオン投入も発表した。建設業者らの連鎖倒産を防ぐ為のものだ。IMFに金を借りて米国に内容的に緊急保証をしてくれと言いながら、株式市場と為替相場の安定に、もがいている。
‘自律的な市場’が最高だと‘小さい政府’を叫んだ国家が、何もかも市場に介入して、企業を生かせてやっている。誰かは、‘国家介入’を通し、現金融システムを換えれば良いと言う。ところが、国家は、新自由主義が絶頂に達している時にも介入してきた。その介入の方式が違っただけだ。一部の経済学者たちは、全てのものを市場と対立させながら資本主義体制を擁護している。
解決方式は、依然として国家を介入させ規制を強化すれば良いと言うことで、帰結される。しかし、国家は、新自由主義を全面化するのに無くては駄目だと言うことだった。国家が出て、開放化、市場化、柔軟化をしたし、第三世界をはじめとして新興国家の市場の壁を取り除いてしまった。
資本の市場開放に反対する労働者民衆を殴って捕まえ、不動産で、株式市場で、バブル(泡を)を作り出した。投機資本たちが、安全的に収奪する構造を作ってやったのも国家だ。
資本家たちが‘危機’に落ち込むや、このとき、公的資金を投入し企業を助けているのも国家だ。
労働者民衆達に‘経済を助けるために、苦痛を分担しなければならない’と主張するのも国家だ。そうだから、事実‘市場介入’と言うものは、もっぱら資本の‘危機’を解決する為のものに過ぎない。
1929年大恐慌以後、最大の危機を迎えている資本が、資本主義体制を守る為に死の苦悶をしているのだ。
資本主義、その体制に対決する闘争が必要だ
来年になれば、物価はさらに上がるし、構造調整(改革)は本格化される。賃金凍結、配置転換、外注化、解雇が急増するのだ。正規職と非正規職に別れる労働者達は、‘雇用’のために、互いにそっぽを向くかもしれない。長期沈滞だという。少なくとも4~5年は、喘えがなければならないと言う話だ。そうであると、変化するのか。資本が‘危機’を乗り越えるのか、巻いていくのかの違いがあるのか分らないが、労働者民衆の人生は変わらない。
学生達は登録料の値上げ拒否闘争を、労働者は、賃金引上げと職場闘争を、庶民達は、貸し出し利子の支払い拒否運動をしなければ為らない状況だ。
しかし、現在の危機は、生存を守る為からも、資本主義それ自体に向かった闘争をこそしなければならぬ。資本家達は、そして国家官僚達は、現在の危機を、体制を脅かす危機として判断している。そうだから、彼等は、この体制を守る為の死活を掛けた闘争をするつもりだ。
そして、労働者民衆の人生はあずかり知る所だ。‘責任’を国民に。‘権利’を資本家に与える、全面的構造調整を進行するつもりだ。
今、労働者民衆の決断が必要だ。‘ただ、耐えて見よう’と言う考えでは、耐える事さえ出来ない。万一耐えることが出来たなら、それは周囲の同僚にそっぽを向くだけの状況が生まれることになるのだ。
労働者民衆の闘争は、予め資本家と政府が進める‘資本を助ける事’の政策に対する全面的介入から始めなければならない。数十兆ウオンの公的資金、思うままに使用される年金基金、などにたいする、労働者民衆の統制が始まらなければならない。
ともに、住宅また物価問題に対する、貧困層への大大的な支援促進と銀行また基幹産業に対する国有化闘争を始めなければならない。
(訳 柴野貞夫・2008年12月14日)
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